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「ハワイは近いし治安もいいから、保険はカードに付いているもので大丈夫かな」。出発前の準備でいちばん後回しにされやすいのが、海外旅行保険ではないでしょうか。
でも、アメリカの医療費は日本とは桁が違います。救急車で運ばれて数日入院しただけで、数百万円の請求になることも珍しくありません。この記事では、外務省・保険会社・カード会社・自治体の公式情報をもとに、ハワイの医療費の目安、クレジットカード付帯保険で確認すべき条件、単体の保険を足したほうがよい人の目安をまとめました(2026年10月時点)。

まず結論:ハワイ旅行の保険はこう考える
- ハワイは医療費が高額になりやすい旅先。保険会社が公表した2025年度の支払い事例でも、支払額の1位・2位はハワイでの入院でした。出発前に、何らかの海外旅行保険で治療費をカバーしておくことをおすすめします
- カード付帯保険は「付帯条件」と「治療費用の金額」を必ず確認。年会費無料のカードの多くは、旅行代金をそのカードで払ったときだけ有効な「利用付帯」です。治療費用の上限も50万〜300万円ほどのことが多く、入院すると足りない場合があります
- 持病がある人・高齢の家族と行く人・子連れの人は、単体の保険も検討。カード付帯保険は持病の治療を対象外にしているのが一般的で、家族が対象にならないカードもあります
どの保険が正解かは、手持ちのカード、同行者、旅行日数で変わります。以下で、判断に必要な材料を順に見ていきます。
ハワイの医療費はどのくらい高い?
外務省が紹介したハワイの入院事例
外務省の海外安全ホームページの「海外邦人事件簿 Vol.64 旅先で入院したら医療費が嵩む」(2011年12月掲載)では、在ホノルル日本国総領事館が扱ったケースが紹介されています。半年の間にハワイで事件・事故により入院した日本人16人のうち15人が ICU(集中治療室)で治療を受け、そのうち11人は海外旅行保険に入っておらず自己負担になったという内容です。
同じ記事では、ICU を使うと医療費の総額が1,000万円を超えることも珍しくないこと、ある保険会社が扱った日本人の医療費の最高額が「ハワイの病院の ICU での治療で3,800万円」だったことにも触れています。掲載から年数は経っていますが、アメリカの医療費はその後も上がり続けています。
2025年度の保険金支払いでも上位はハワイ
海外旅行保険を扱うジェイアイ傷害火災保険が2026年7月に公表した2025年度の事故データ(トラベルボイスの記事による)では、次のような数字が出ています。
- 保険加入者の22人に1人(4.5%)が旅行中に何らかの事故で保険金を請求
- ハワイでの事故は、保険金のうち「治療・救援費用」が60.9%を占める
- 支払額の1位はハワイでの2,530万円。足の腫れで救急搬送され、炎症性の病気で約3週間入院、家族が駆けつけ、帰国は医療搬送だったケースです。2位もハワイでの骨折・約1か月の入院で、ほぼ同じ額でした
ここで目を向けたいのは、治療費そのものに加えて、**家族が日本から駆けつける費用(救援者費用)**や、付き添い付きで帰国する医療搬送の費用もかかっている点です。保険を選ぶときは「治療費用」と「救援者費用」の両方を見ておきましょう。
日本の健康保険はハワイで使える?
日本の公的医療保険(国民健康保険・会社の健康保険など)には「海外療養費」という制度があり、海外で急病やけがの治療を受けた場合、帰国後に申請すると一部が戻ってきます。ただし、旅行保険の代わりにはなりにくい仕組みです。港区の案内によると、次のような決まりがあります。
- 支給額は「日本で同じ治療を受けた場合の費用」と「海外で実際に払った額」の少ないほうを基準に計算され、そこから自己負担分(3割など)を引いた額。アメリカの高い医療費は日本の基準で計算し直されるため、実際の支払額との差が大きくなります
- 現地ではいったん全額を自分で支払い、帰国後に診療内容明細書・領収明細書(とその日本語訳)などをそろえて申請する
- 申請期限は療養を受けた日の翌日から2年以内。審査が強化されていて、支給決定まで原則3か月以上かかる場合がある
つまり「数百万円をその場で払えるか」「戻るのは一部だけ」という2つの壁があります。海外療養費は「保険に入っていても、補償額を超えた分を少しでも取り戻す手段」くらいに考えておくのが現実的です。
クレジットカード付帯保険で確認すべき4つのこと
1. 利用付帯か自動付帯か
カードの海外旅行保険には、カードを持っているだけで対象になる「自動付帯」と、旅行代金などをそのカードで支払ったときだけ対象になる「利用付帯」があります。ここ数年は自動付帯から利用付帯に切り替えるカードが増えていて、エポスカード(一般・ゴールド)も現在は利用付帯です。
利用付帯の場合、何をいつ払えば対象になるかがカード会社ごとに違います。たとえば2026年10月時点では、次のような違いがあります。
- エポスカード(一般・ゴールド): 日本出国前に航空券・空港までの電車やリムジンバス・パッケージツアー代金などを払えば、旅行開始から90日間が対象。出国後に、現地で乗ったタクシーやバスの料金を初めてこのカードで払った場合も、その時点から対象になります(個人で手配したホテル代やレンタカー代は対象外)。出典: エポスカード公式
- 三井住友カード(NL)・ゴールド(NL): 2025年10月16日以降に出発する旅行から、日本出国前に公共交通機関の代金かパッケージツアー代金をこのカードで払っていることが条件になりました。現地に着いてからの支払いでは対象になりません。出典: 三井住友カード公式のお知らせ
「航空券はマイルを貯めているカードで払い、保険は別のカード」というよくあるパターンだと、保険のほうのカードは条件を満たしていないことがあります。出発前に、空港までの電車代やリムジンバス代をそのカードで払うだけで条件を満たせるカードもあるので、手持ちのカードの条件を公式サイトで確認しておきましょう。
2. 治療費用の補償額
いちばん大事なのが「傷害治療費用」と「疾病治療費用」の金額です。ハワイの医療費を考えると、ここが小さいと入院したときに足りなくなります。代表的なカードの本会員の補償額は次のとおりです(2026年10月時点、各社公式サイトで確認)。
| カード | 年会費(税込) | 付帯条件 | 傷害治療費用 | 疾病治療費用 | 救援者費用 | 家族の補償 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エポスカード | 永年無料 | 利用付帯 | 200万円 | 270万円 | 100万円 | 本人のみ(※1) |
| エポスゴールドカード | 5,000円(年間50万円以上の利用で翌年以降永年無料。招待の場合は永年無料) | 利用付帯 | 300万円 | 300万円 | 100万円 | 本人のみ(※1) |
| エポスプラチナカード | 30,000円(年間100万円以上の利用で翌年以降20,000円) | 自動付帯 | 300万円 | 300万円 | 200万円 | 生計を共にする親族も対象(治療費用は各200万円) |
| 三井住友カード(NL) | 永年無料 | 利用付帯 | 50万円 | 50万円 | 100万円 | 公式サイトで確認 |
| 三井住友カード ゴールド(NL) | 5,500円(年間100万円の利用で翌年以降永年無料) | 利用付帯 | 100万円 | 100万円 | 150万円 | 公式サイトで確認 |
※1 エポスカード(一般)・ゴールドの会員同士なら、代表者が旅行代金をまとめて払うと同行者も対象になります。 出典: エポスカード 海外旅行保険、エポスカードの年会費は公式 FAQ(エポスカードは年会費がかかりますか?・プラチナ)、三井住友カード カード別保険金額一覧
楽天カードや JCB カードも、カードの種類によって付帯条件と金額が違います。持っているカードの「海外旅行傷害保険ご利用ガイド」(各社サイトからダウンロードできます)で確認してください。年会費・特典をふくめたカードごとの解説は「三井住友カード ゴールド(NL)の記事」「JCB CARD W の記事」にもまとめています。
エポスカード
海外旅行傷害保険は利用付帯。航空券や空港までの電車・リムジンバス、パッケージツアーの代金をこのカードで払うと適用されます。傷害治療費用200万円・疾病治療費用270万円(2026年10月時点)。
年会費: 永年無料(2026年10月時点)
公式サイトで詳しく見る※ 補償内容・付帯条件は変更される場合があります。最新情報はリンク先でご確認ください。カードの発行には所定の審査があります。
3. 複数枚のカードの補償は合算できる?
カード付帯保険が付いたカードを何枚か持っている場合、治療費用・救援者費用などは各カードの金額を合算できるのが一般的です(実際の損害額が上限)。一方、死亡・後遺障害は合算されず、いちばん高いカードの金額が上限になります。エポスカード・楽天カードの公式サイトにもこの扱いが書かれています。
ただし、合算できるのは「それぞれのカードの付帯条件を満たしている場合」だけです。利用付帯のカードを2枚合わせたいなら、2枚とも条件を満たす支払いをしておく必要があります。
4. 家族・子どもが対象になるか
年会費無料のカードは本会員だけが対象のことが多く、配偶者や子どもは補償されない場合があります。家族カードを持っている家族は対象になるカード、生計を共にする家族まで対象になる上位カードなど、扱いはさまざまです。子連れのハワイ旅行では、子どもの分の補償がどこから出るかを必ず確認しておきましょう。
カード付帯保険だけで足りる?判断の目安
カード付帯保険だけで行くか、単体の海外旅行保険を足すかは、次のような観点で考えると整理しやすくなります。
単体の保険を検討したい人
- 持病がある人、通院中の人(カード付帯保険は持病の治療を対象外としているのが一般的。エポスカード公式の Q&A にも「持病による治療費用は対象外」とあります)
- 高齢の家族と行く人(少し古いデータですが、ジェイアイ傷害火災保険の2013年の集計では、高額な医療費の事故の半数が65歳以上でした。出典: トラベルボイス)
- 子連れで、子どもがカードの補償の対象にならない人
- 手持ちのカードの治療費用が合算しても数百万円に届かない人
- サーフィン・シュノーケル・ハイキングなど、けがのリスクがあるアクティビティを予定している人

カード付帯保険で備える場合にやっておきたいこと
- 付帯条件を満たす支払いを出発前に済ませる(利用明細を取っておく)
- 複数枚のカードで治療費用を合算し、合計額を把握しておく
- 各カードの海外からの連絡先(アシスタンスデスク)をスマホと紙の両方に控える
単体の海外旅行保険には、治療・救援費用を数千万円や無制限にできるプランを用意している保険会社もあります。保険料は年齢・日数・補償内容で大きく変わるので、複数社で見積もりを取って比べるのがおすすめです。カード付帯保険で足りない部分(治療費用だけ、など)を上乗せする組み方ができる保険もあります。
単体の海外旅行保険を選ぶときのポイント
- 治療・救援費用の金額: ハワイの事例を考えると、カード付帯保険より大きな金額を選べるのが単体の保険の利点です
- 持病の扱い: 持病が急に悪化した場合を一定額まで補償するプランを用意している保険会社もあります。対象になる条件(旅行前の通院状況など)は商品ごとに違うので、申し込み前に確認しましょう
- キャッシュレス診療: 提携病院なら、保険会社が病院に直接支払うので、現地で立て替えずに済みます。ワイキキ周辺の提携病院は各社のサイトやアシスタンスデスクで確認できます
- 日本語サポート: 24時間日本語で相談できるアシスタンスデスクがあるか
- 加入のタイミング: 海外旅行保険は日本を出発する前に入るのが基本です。出発当日でも、ネットや出発空港の保険カウンターで加入できる場合があります
なお、病気やけがで旅行に行けなくなったときのキャンセル料は、一般的な海外旅行保険では補償されません。キャンセル料に備えたい場合は「旅行キャンセル保険」を別に検討します。
ハワイで病院にかかるときの流れ
- 命に関わる緊急時は911(救急車・警察・消防の共通番号)。救急車は有料です
- それ以外は、まず保険のアシスタンスデスクに電話。症状を伝えると、日本語で対応できる病院やキャッシュレス診療ができる提携病院を案内してもらえます。ワイキキには日本語で受診できるクリニックもあります
- 受診時に保険の情報を伝える。カード付帯保険なら、そのカードを持参します
- 立て替えた場合は、領収書・診断書・診療明細を必ずもらう。保険金の請求にも、日本の海外療養費の申請にも必要になります。日本に帰ってからでは取り寄せにくい書類なので、現地でそろえておきましょう
体調を崩したときに慌てないよう、常備薬は日本から持参するのが安心です。英語の薬の説明が難しい場合も、飲み慣れた薬があれば落ち着いて対応できます。
かさばる薬の箱は、1回分ずつまとめられる携帯用の薬ケースに入れておくと、ビーチバッグや機内持ち込みのバッグにも収まります(処方薬は、入国時に説明できるよう処方内容がわかるものを一緒に持っておくと安心です)。
ハワイでの盗難・海の事故など、医療以外のトラブルへの備えは「ハワイの治安は大丈夫?」、持ち物全体は「ハワイ旅行の持ち物リスト」にまとめています。

よくある質問
Q. ハワイで入院すると、いくらかかりますか?
病状や病院によって大きく違うため、一律の金額は言えません。ただ、ジェイアイ傷害火災保険の2025年度のデータでは、ハワイでの約3週間〜1か月の入院で2,500万円規模の支払いがありました(家族の渡航費や医療搬送の費用をふくむ)。外務省の記事でも、ICU を使うと1,000万円を超えることも珍しくないとしています。
Q. 年会費無料のカードの保険だけで行っても大丈夫ですか?
「大丈夫」とは言い切れません。付帯条件(利用付帯なら事前の支払い)を満たしているか、治療費用がいくらか、同行の家族が対象かを確認したうえで、足りないと感じたら単体の保険を足すか、補償額の大きいカードと組み合わせることを検討してください。
Q. 現地に着いてから保険に入れますか?
日本の保険会社の海外旅行保険は、日本を出発する前に加入するのが原則です。出発当日の空港でも加入できる場合がありますが、出国後の加入はできないと考えておきましょう。利用付帯のカードも、三井住友カードのように「出国前の支払い」が条件のものがあります。
Q. 持病があっても海外旅行保険に入れますか?
加入自体はできる場合が多いですが、持病の治療は補償の対象外になるのが一般的です。持病が急に悪化した場合を一定額まで補償するプランを用意している保険会社もあるので、申し込み前に条件を確認してください。
Q. ESTA の申請に保険の加入は必要ですか?
ESTA の申請では海外旅行保険への加入は求められていません(2026年10月時点)。ESTA の申請方法は「ESTA の申請方法」をご覧ください。
まとめ
ハワイは日本から近く、安心して旅行しやすい場所ですが、医療費については「アメリカで病院にかかる」と考えて準備しておく必要があります。
- 何らかの海外旅行保険で、治療費用と救援者費用をカバーしてから出発する
- カード付帯保険は、利用付帯か自動付帯か、治療費用の金額、家族が対象かを公式サイトで確認する
- 持病がある人・高齢の家族や子どもと行く人は、単体の保険も比べてみる
保険の補償内容や付帯条件は、カード会社・保険会社の都合で変わることがあります。この記事の内容は2026年10月時点のものなので、出発前に必ず各社の公式サイトで最新の条件を確認してください。年会費無料で、空港までの電車代などを払うだけで付帯条件を満たせるカードを1枚用意しておきたい場合は、エポスカードの公式サイトで補償内容と条件を確認してみてください。旅行全体の予算の立て方は「ハワイ旅行の費用」も参考にどうぞ。